小耳症と顔面非対称

You are currently viewing 小耳症と顔面非対称

小耳症の患者様の中には、顔面非対称を同時に持って生まれる方もいらっしゃいます。小耳症は、言い換えると部分的な発育不全であるため、耳の周囲も影響を受け、顔の成長バランスを崩してしまうのです。

小耳症と顔面非対称をもつ患者さま

顔面非対称は重度に応じてType I、Type IIa、Type IIb、Type IIIなどに分けることができ、Type Iは顔の骨がほぼ正常に近く、Type IIIは顎が通常より小さいとされています。症状が重度なほど、骨が未発達であることがわかります。

もう少しわかりやすく、症状別で3段階に分類し、それぞれの症状においてどのように治療方針を定めていくのが良いかをお伝えしたいと思います。

***********************************************************
1. 非常に重度の非対称で噛み合わせも悪い
2. 比較的重度の非対称ではあるが噛み合わせには問題がない
3. 軽度の非対称で噛み合わせも問題がない
***********************************************************

1️⃣ 非対称の程度が非常に重く噛み合わせも悪い場合

非対称の程度が非常に重い場合、保護者の方は “早く治療をしてあげたい”と焦る気持ちが先立ちます。しかし、重度の場合には骨の矯正だけでなく、歯科治療も検討する必要があるため、どのタイミングでどの治療を受けるかが、とても重要なポイントになります。症状が重度である場合、まずは頭蓋・顎・顔面の手術を専門にしている大学院のドクターを訪ねて、カウンセリングを受けてることをお勧めします。

2️⃣ 非対称は比較的重いが噛み合わせが良い場合

非対称の症状が顕著であっても、噛み合わせに問題がない場合は、成人した後に非対称を矯正する傾向があります。事前に自身の非対称がどの程度なのかを把握し、正確な治療方法を把握するため、専門の形成外科を訪ねてみることをお勧めします。

3️⃣ 非対称の程度が低く噛み合わせも問題ない場合

症状が軽度な場合、顔面非対称の原因は骨ではなく頬肉の発達によるものと言えるでしょう。よって、骨を矯正するような大掛かりな手術は必要なく、脂肪移植でバランスを整えるだけでも十分効果的です。ただ、一度の移植で済む方もいらっしゃれば、2-3回に分けて移植が必要な方もいます。

脂肪移植は年齢を問わず比較的安全に受けることができる手術であるため、お子さまに対する治療も可能ではありますが、小耳症再建を検討している場合、再建手術を終えた後に、矯正を行うことをお勧めしています。

脂肪移植の手術時間はおおよそ2時間程度、脂肪を採取する部位は下腹部、わき腹、太ももなどがあり、人によって異なります。

過去には、非対称が見られる場合、幼い頃にあらかじめ骨の手術を行っておくと、その後もバランスよく成長すると考えられていましたが、成人後に再発するケースが報告されています👨‍⚕️

適切な治療を受けるには、まずご自身の非対称の程度を知り、関連の医療機関を幾つか訪ね、専門医のアドバイスの下で治療の方向性をじっくりと掴んでいくことが大切です。